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アレルギー治療・検査

舌下免疫療法

スギ花粉症に対する舌下免疫療法(シダキュア)の開始時期について

毎年6月よりスギ花粉症の舌下免疫療法(シダキュア)が開始となります(スギ花粉飛散時期は副反応リスクが高まるため開始できません)。治療の適応はスギ花粉に対するアレルギー検査の結果が陽性の方となります。検査結果をお持ちの方はご持参ください。検査結果がない方はアレルギー検査が必要となります。

また、ダニの舌下免疫療法(ミティキュア)については時期を問わず開始が可能です。スギ花粉と同様、ダニに対する検査陽性の検査結果が必要となります。

舌下免疫療法につきましての詳細は以下の内容をご覧ください。(こちらのページもご参照ください)

2023年は大量飛散の年でした。診療での患者さんの訴えの違いを「院長のひとりごと」で触れています。よろしければご覧になってみてください!

舌下免疫療法について

「鼻炎」の主な原因としては、風邪などの感染症と、ハウスダスト(ダニ)や花粉などのアレルギーがあります。
風邪をひいたわけでもないのに鼻炎の症状が現れる場合は、「アレルギー性鼻炎」が疑われます。
アレルギー性鼻炎の原因となる「アレルゲン」は、私たちが日常生活で接触しているいろいろな動植物や室内のハウスダスト(ダニ)・カビなどです。どのようなアレルゲンに対してアレルギー反応をおこすかは人によって異なります。
このアレルギー性鼻炎に対し、当院では「スギ花粉症」「ダニアレルギー」の方を対象に舌下免疫療法を行っております。

舌下免疫療法とは、舌の下にお薬を置き1分間保持したあと飲み込む治療法で、1日1回、現在の推奨は4年程度(可能な方は5年)治療を継続することでスギ花粉やダニに対し身体を慣れさせる治療法です。

スギの舌下免疫療法(シダキュア)

検査の結果、スギ花粉症の診断が確定された方が治療の適応となります。
最初の1週間は2000JAUと少ない量から開始します。問題がなければ2週目より常用量である5000JAUに増量します。

ダニの舌下免疫療法(ミティキュア)

同様に検査の結果、ダニアレルギーの診断が確定された方が治療の適応となります。
最初の1週間は3300JAUと少ない量から開始します。問題がなければ2週目より常用量である10000JAUに増量します。

少量から服用し、決められた一定量を3年以上服用し続けます。

※治療の継続には少なくとも1回/月の受診が必要となります。
※また、服薬状況が安定しており、飲み忘れなどなく定期通院されている方には、医師よりリフィル処方をご提案する場合がございます。

期待できる効果…

長期にわたり正しく治療が行われると、アレルギー症状を治したり、長期間症状をおさえる効果が期待できます。
また、症状が完全におさえられない場合でも、症状を和らげ、アレルギー治療薬の減量が期待できます。

くしゃみ・鼻水・鼻づまりの改善、涙目・目のかゆみの改善、アレルギー治療薬の減量、QOL(生活の質)の改善

舌下免疫療法は現状、唯一花粉症を治し得る治療法とされています。約80%以上の方に効果があり、そのうち20%は花粉症が治癒するという報告があります。また30%以上の方はかなり楽になり花粉症のお薬が激減し、20~30%では症状はあるものの以前に比べ楽になることが期待できます。そして残念ながら10~20%の方には治療効果が得られないようです。つまり、80%以上の方に舌下免疫療法の効果が期待できます。
また、治療開始の翌年より症状緩和を実感される方が多くみられます。

治癒20%、著効30%以上、有効20~30%、無効10~20%

ゾレアについて

ゾレア®皮下注~重症花粉症治療の新しい治療薬~

当院で重症・最重症のスギ花粉症に対して、2月~5月に抗IgE抗体オマリズマブ(ゾレア®)を皮下注射する治療(保険適応)を行うことができるようになりました。

ゾレア®

ゾレア®ってなあに?

  • スギ花粉症によるくしゃみや鼻みず(水みたいな)がどうにもとまらない、また鼻づまりがひどくて夜眠れない、昼間もボーっとしてしまう
  • スギ花粉の症状が、飲み薬や点鼻薬を使用してもおさまらない
  • お薬を飲むと眠気が強くて困っている

ゾレア®は、スギ花粉による様々な症状で一日中悩んでいる方、薬ではコントロールできない方にとって検討する価値の高い治療で、症状緩和を期待できる、アレルギー症状を引き起こすIgE抗体に作用する皮下注射の抗体製剤です。

このような方が対象となります

  • 12歳以上の方。治療間隔は大抵4週間ごと(検査結果、体重により2週間ごととなる場合があります)に注射します(適応期間は2-5月になります)。
  • 最高3回まで行う場合があります(多くの場合は1回で終了することが多いです)。
  • 今シーズン、従来の内服薬と点鼻薬で1週間以上治療し、コントロールが不良な方が対象となります。
  • 治療の前に、総IgE値とスギ特異的IgE値を測定する必要があります。
    (直近の総IgE値と体重で投与量が決まります。総IgE値が異常高値の場合や、スギ特異的IgE値がClass 3以上でないと適応となりません)

※スギ特異的IgEの測定には、血液検査、もしくは指先からのわずかな血液で41項目ものアレルギーが検査可能なドロップスクリーンによる検査が必要となります。

ゾレア®皮下注がおすすめの方

  • 受験生の方(副反応が心配なようでしたら、受験の前の年(中2や高2)の時に試されることをおすすめします)
    外での部活動(野球やサッカーやテニスなど)のため、薬を使ってもぜんぜん効かないという方
  • 営業など外でのお仕事が多い方
  • お仕事で山の中や山の近くへ向かう必要がある方
  • スギ花粉飛散時期に内服薬、点鼻薬でなかなか効かなくて、毎年非常につらい方

重症季節性アレルギー性鼻炎治療薬オマリズマブ(ゾレア®)について

ゾレアは、季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)のアレルギー症状を引き起こすIgE抗体に作用する抗体製剤です。

これまで、スギ花粉症に対する治療は抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン拮抗薬の内服、ステロイド点鼻薬、点眼薬などが中心でしたが、内服薬と点鼻薬を併用しても症状が軽減しない、重症・最重症スギ花粉症の新たな治療薬「抗IgE抗体薬ゾレア®皮下注」による治療法が追加されました。

治療の詳細については以下のサイトをご確認ください。

季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)でお悩みの患者さまとご家族の方へ | ノバルティス ファーマ株式会社

この治療は対症療法の一つであり、皮下注射すると花粉症が完治するわけではありません。また効能は2~4週間で、全患者さんの症状が軽減するわけではないのでご注意ください。

効果はそのシーズン限りとなります(重大ポイント!)。そのため、ゾレア®の適応となった重症花粉症患者さんは、スギやヒノキの花粉症が終わった6月以降にスギ舌下免疫療法もご一考ください。舌下免疫療法はスギ花粉症に対する唯一の根治が期待できる治療法です。

また舌下免疫療法の効果が十分発揮される前の段階で、鼻づまりがひどい方は秋頃までにレーザー治療もご検討してみてはいかがでしょうか。
舌下免疫療法やレーザー治療も当院で行っていますので、詳しくは当院ホームページをご参照ください。ご質問等ございましたら、スタッフまでお気軽にお問い合わせください。

対象年齢

成人及び12歳以上の小児。

投与量

血液中の総IgE値、体重をもとに投与量が計算され2週間もしくは4週間おきに1〜4本の注射を皮下注射します。

ゾレアによる治療を受ける為の条件

  1. 重症または最重症の季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)で、前スギ花粉シーズンでも重症な症状があったこと。
  2. スギ花粉のアレルギー検査(血液検査)がクラス3以上であること。
  3. 花粉症の治療を1週間以上行い、効果が不十分であったこと。
  4. 12歳以上、血清総IgE濃度が30~1500IU/ml、体重20~150kgの範囲にあること。

以上の条件に当てはまらないと、ゾレアによる治療は受けられません。

  • ①の条件は、昨年も当院でスギ花粉症の治療を受けており、処方された薬が抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン拮抗薬、ステロイド点鼻薬であり、治療を受けても重症または最重症と判断された患者さんが対象です。
  • ③の条件は、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン拮抗薬の内服と、ステロイド点鼻薬を使用して1週間以上治療を行っても重症であることが条件です。

ゾレアの適応には様々な要件があります。ご希望の方はご相談ください。

費用はゾレア®︎の薬剤費のみで1ヶ月あたり、3割負担の方で約4,444円〜69,953円かかります(総IgE値、体重により投与量を算出するため、個人によって金額が変わります)。その他、受診、検査にかかる費用、同時に服用し続ける必要のあるお薬の処方費がかかります(薬剤の使用は必須です)。
よって、従来のお薬を開始したが、効果が不十分な方に行う追加の治療とお考えください(注射のみは適応となりません)。

自己負担が高額になる方は限度額適用認定証を申請し、年収に応じた医療費の助成を受けることをおすすめします。ノバルティス社のホームページの季節性アレルギー性鼻炎コーナーで概算費用を確認することができます。
小児は12歳以上が適応ですが、自治体によりこども医療費など医療費助成を受けることができます。

治療の詳細については以下のサイトをご確認ください。

季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)でお悩みの患者さまとご家族の方へ | ノバルティス ファーマ株式会社

アレルギー性鼻炎の重症度分類

  アレルギー性鼻炎の重症度分類

治療の流れ

相談日

問診票を記入していただき、重症または最重症のスギ花粉症があるのかを確認させていただきます。症状が副鼻腔炎等他の病気によって引き起こされているものでないか確認するために検査を行う場合があります。その上で、治療について説明させていただき、ゾレア適応の有無と投与量の決定のために採血を行います。1週間以上、既存の治療(内服薬、点鼻)を行います。

患者さんへご連絡

採血結果が出ましたら、患者さんへご連絡いたします。
費用のご案内と治療日のご予約をお取りします。

ゾレア®の注射の開始

予約日に受診していただきゾレアの投与を行います。注射後は院内で30分待機していただきます。

鼻レーザー治療について

アレルギー性鼻炎、鼻のレーザー治療について

アレルギー性鼻炎では鼻の粘膜(下鼻甲介)が腫れることにより鼻づまりが生じます。この下鼻甲介の粘膜をレーザーや高周波などを用いて焼灼し腫れづらくする方法があります。これは鼻づまりには効果が得やすいですが、鼻水にはさほど効果を期待できません(軽減する方も中にはいますが)。いくつかの論文では鼻水にも効果が期待できるといったものも過去にはありましたが、私の経験では鼻水に対し劇的に効果があったケースはほぼいらっしゃいませんでした。
また、この治療にて花粉症を軽減させようとした場合、焼灼後の創部が治らないと効果が発揮されません。よって花粉症対策として行う場合は前年の夏~遅くとも秋までには治療を済ませておく必要があります。

当院ではホコリやダニなどのハウスダストによって1年中鼻がつまる方(通年性鼻閉)を主に鼻のレーザー治療を行っております。スギ花粉症に対し治療を希望される方につきましては、10月頃までの完了が必要となります。

鼻のレーザー治療装置

当院での鼻レーザー治療について

炭酸ガスレーザーを使用していますので、痛みの心配はほとんどありません。手術当日~1、2日は若干、鼻に血が混じりやすくなりますが、止血困難な鼻出血はまず心配ありません。治療にかかる費用は保険適応で、約1万円(3割負担の場合)となります。

対象となる方

  • アレルギー性鼻炎により1年中鼻がつまる方
  • 花粉症により鼻づまりがひどい方(ただし、以下の点にご注意ください)
  1. スギ花粉症の方の場合、5月~10月までが治療対象期間となります。
  2. スギ花粉症時期に当院での診察歴がない方につきましては、治療適応の客観的判断が困難なため、あくまでも自覚症状の変化が効果判断の目安となります。その場合、主観的評価となるため自覚症状に変化をあまり感じない場合があります。

※くしゃみ、鼻水の症状に対しては当院では鼻レーザー治療の適応としておりません。

花粉症についての詳細はこちらの「花粉症と初期治療:院長のひとりごと」をご参照ください。

ドロップスクリーンについて

当院では注射器を使わずに検査ができるアレルギー検査機『ドロップスクリーンA-1』を導入しています

ドロップスクリーン検査は、注射器を使わずに指先から微量の採血で、吸入系19種類と食物系22種類、の41種類のアレルゲン(アレルギーの原因)を調べることができる検査です。検査の結果は30分で分かります。

最近では、アレルギーになる年齢が下がり幼児でも花粉症やアレルギー性鼻炎を発症することがあります。 ドロップスクリーン検査は、小さなお子さん(2歳以上)でも検査をすることができます。

ドロップスクリーンA-1

アレルギー検査 よくある質問

子どもでも検査できますか?何歳からできますか?

注射器を使わず指先に小さな針をチクッと刺し特殊な器具を使って約1滴の採血で検査ができますので、採血が苦手な方や小さなお子さんでも検査が可能です。
ただし、それでも指先をわずかに穿刺しますので、ほんの少し痛みがあります。小学生以上でも痛みが苦手なお子さんは、もう少し大きくなってからの検査をおすすめする場合があります。

食べ物のアレルギーはわかりますか?

ドロップスクリーンでは22種類の代表的な食物系アレルゲンが検査できます。それ以外のものは採血での検査になります。

ドロップスクリーンだけでなく、一般的に食物の場合は擬陽性(検査が陽性でも症状がない)の場合があるため食物アレルギーの判断は非常に難しいです。食物アレルギーの診断については食物負荷試験ができる高度医療機関へ紹介させていただく場合があります。

検査は保険適応ですか?検査費用はどのくらいかかりますか?

どちらの検査も保険適応となります。
『ドロップスクリーン』は3割負担の方で約5,000円となります(11項目の費用で41項目の検査ができます)。

※別途、診察料、処置料、処方箋料がかかります。

検査結果は当日分かりますか?

検査結果が出るまで30分程度かかります。
検査が混み合っている場合や診療終了時刻間際の場合は、結果のお伝えは後日となります。
検査結果までに待ち時間が発生する場合は検査前にご説明いたします。