耳かきについて
皆さんは、耳かきお好きですか?
「毎日お風呂上がりに」される方から、「何年もしていない!」といった方までおられるでしょう。
耳かき(耳掃除)っていったいどれくらいの頻度で行ったらいいか、皆さんどう思いますか?
正解は、1~2か月に1回程度で十分なのです。
では、どうしてでしょう?
耳垢(みみあか)は、「耳クソ」なんて呼ばれ方もすることから日本人は汚いものとつい思いがちですが、何と違うんです!
英語では「ear wax(イヤーワックス)」と呼び、耳垢の意味としてはこの呼び名の方が正しいと言えます。実は耳の穴(外耳道)の湿度を保ち、殺菌作用もあり耳を保護するワックスの作用を持っています。
よって毎日、綿棒でお風呂上がりに掃除するということは、ワックスがけした床のワックスを毎日ぬぐい取っていることと同じことなのです。
では、ワックスの剥がれた床ってどうでしょう?
滑りも悪く、見た目にもガサガサした床になりますよね。
これと同じことが耳の中でも起こり、結果かえって耳のかゆみを助長してしまいます。
この状態が続くと、慢性の外耳道炎という状態になり、常に耳がかゆく、耳掃除をしないといられなくなってしまいます。
耳の中を刺激するため、かゆみは増し、かゆいからまた耳を触るといった悪循環に陥ります。これが耳掃除が月1回程度で十分な理由です。
では次に、どのあたりまで掃除をしたらよいものでしょうか?
耳の穴は約3cmの深さがあります。手前半分は軟骨からなり、奥半分は骨で形成されています。また、耳の中は皮膚ではなく粘膜で覆われており、傷がつきやすい構造となっています。耳を触っていいのは、入口から約1cmまでで、それ以上は奥に入れ過ぎです。耳かきであれば、さじ状になっている部分のみが耳に入る程度と言えます。
「えっ!、そんな程度?奥にある耳垢はどうするの?」
と思われるでしょう。
ワックスである耳垢は奥から手前へと自然に移動してきますから、移動してきた手前1cmの箇所のみを除去してあげれば十分なのです。
耳がかゆくて困っている方は、耳掃除を止めることが治療の第1歩となります(なんせ触っているのが原因ですから)。
しかし、耳のかゆいのってすごく苦痛なんですよね。そんなあなたは是非近くの耳鼻科へ通院してください。耳の消毒など処置をしていくことでかゆみは取れてきますから、そうすれば耳掃除をしないで済むようになります。
あなたの耳掃除は正しくできてますか?
*耳垢が手前から奥までがっちり詰まってしまう方も中にはおられます。
そのような方は定期的に耳鼻科で処置をしてもらってください。