子どもの「いびき・無呼吸」
小学生くらいまでのお子さんのいびきや無呼吸を診察する際には、まず「鼻」から疑います。そのため、小児科や矯正歯科から耳鼻科を紹介され、お子さんのいびきが心配で来院される方が多くいらっしゃいます。当院にいらっしゃる患者様も風邪をひいていびきをかいているお子さんから、何年間も前から毎晩いびきをかいているお子さんまで症状はさまざまです。
まず、風邪をひいていびきをかいた場合はほぼ心配ありません。鼻風邪の治療をしっかりと行えば、鼻が治ると同時にいびきも改善するでしょう。
いびきや無呼吸についてご心配の方はどうぞご相談ください。
子どもの「いびき・無呼吸」のチェックポイント
心配なイビキは、イビキが長期にわたって毎日かいているケースです。その場合は、鼻で呼吸ができているか?口呼吸になっていないか?アデノイドと口蓋扁桃を診察で確認します。鼻で呼吸が出来ない場合は、口で呼吸をするためにぽかんと口を開けた表情となります。
お家で見て欲しいポイントは、イビキの大きさではなく「呼吸努力」があるかないかです。下記のような症状がある場合は睡眠呼吸障害が疑われますので診察をおすすめします。
子どもの睡眠呼吸障害が疑われる症状
- 苦しいそうないびき
- 睡眠中に息が止まる
- 睡眠中に胸とお腹の動きが一緒に動かずシーソーのように逆になる
- 胸が凹み、息を吸い込むときにのどが深くくぼむ
- 口呼吸
- 寝相が悪い
- 寝起きが悪い
- おねしょ(夜尿)
- 成長発育障害、低身長
- 落ち着きがない、学業不振
子どものからだ発育への影響
「寝る子は育つ」と昔からいうように、小児期に睡眠が妨げられると成長や発育に様々な影響を及ぼすことが分かっています。代表的なものには下記のようなものがあります。
いびき無呼吸の有無だけでなく、夜になったら「子どもが寝れる環境」を大人が整えることも大切です。
①成長障害
- 低身長 成長ホルモンは子どもの成長期において骨や筋肉の発達を促進します。睡眠呼吸障害があると成長ホルモンの分泌が妨げられ低身長の原因となることがあります。
- 顎や顔面の成長不全 鼻呼吸が妨げられるとお子さんの顎や顔の骨の発育にも影響を与えることがあります。特に上あごと下あごのバランスが崩れ歯並びや顔立ちにも影響を及ぼすことがあります。
②発達への影響
質の良い睡眠を確保できないことで落ち着きがない、不注意、学業に影響を及ぼす可能性があります。
③代謝系への影響
睡眠が妨げられると、肥満予備軍になる可能性があります。
④おねしょ(夜尿)
夜尿症のお子さんの8~47%に睡眠呼吸障害の影響があるとされています。
検査について
副鼻腔炎の確認、アデノイド、扁桃の確認のためにレントゲンや鼻・のどファイバースコープなどの検査があります。
当院では簡易検査をまず行い、睡眠呼吸障害が疑われる場合には、検査入院していただき精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)を行います。小さなお子さんの場合には保護者の方の付き添いをお願いしております。
治療について
睡眠呼吸障害の原因を診察と検査で特定し、鼻が原因となっている場合はその治療を行います。アデノイドや扁桃肥大が原因の場合は手術が出来る施設へご紹介いたします。